IndependentWHO – 原子力と健康への影響

「世界保健機構(WHO)は、放射能汚染の犠牲者を守るという使命を果た していません。」

13 - August - 2012

インディペンデントWHO(IndependentWHO)主催による「放射線防護に関する科学者と市民のフォーラム」が、5月12日(土)、5月13日(日)にジュネーヴで開催された。

5月12日は、以下のパネラーによる発表が行われた(敬称略)。

松井英介、コリン・コバヤシ、丸森あや、岩田渉、地脇美和(日本)、ガリーナ・バンダジェフスカイア、アレクセイ・ネステレンコ、ウラジーミル・バベンコ(ベラルーシ)、ユーリ・バンダジェフスキー(ベラルーシ、現在はウクライナ在住)、クリストファー・バズビー(英国)、ポール・ラノワ(ベルギー)、ミッシェル・フェルネックス(スイス)、ソフィー・フォーコニエ、ポール・ジョバン、ローラン・デボルド、ミッシェル・リヴァジ(フランス)。

 

当フォーラムに出席した200名以上の聴衆は、パネラーによる濃密な内容の発表に耳を傾けた。日本とウクライナの原発事故後にもたらされた放射線汚染による外部、内部被曝の健康への影響が主要なテーマであったが、コソボとイラクで使用された劣化ウラン弾、核実験(500以上の核爆弾が環境中で爆発)による影響にも言及があった。全ての発表者は、ヒロシマ・ナガサキの余波を受けて制定された、現在の放射線防護のための基準値は、チェルノブイリと福島での原発事故によりもたらされた健康被害に対応するには、もはや相応しくないということを強調した。これら安全基準は、放射線事故が起こった場合、政府により操作され、公衆衛生に有害となるため、改訂される必要がある。

日本からの参加者は、政府による情報操作と、特に子供のための住民保護の無策に直面し、過去26年間、チェルノブイリの汚染地域で特に18歳未満の子供にみられる健康状況の悪化の調査に携わっている専門家に、緊急に意見を求めた。

原子力産業、政府、WHOを含む国際機関をはじめとする当局から見放された被害者は、独自に放射線防護のための方策を打ち出す必要があった。バベンコ氏による放射線防護のための著書『原発事故後』〔日本語版タイトル「自分と子どもを放射線から守るには」世界文化社刊2011年〕は、ロシア語、日本語、そして最近ではフランス語で出版されている。

5月13日(日)は、前日のフォーラム発表者、政治家、団体代表者、一般参加者とIndependentWHOの会員により、「民間および核兵器産業によりもたらされた放射線の外部・内部被曝の健康への影響についての真実を確立、認識させるために何をすべきか」について討論が行われた。

議論での2つの主要テーマ−WHOが放射線と健康の分野で果たすべきWHO憲章上の義務と、公衆の放射線防護の分野で独立した科学者が持つべき権威- について、参加者から以下のアクションが提案された。

1−国際的なアクション(特に見張り番活動)により、WHOが完全な独立機関として人々を放射能から保護する義務を果たし、原子力産業に免罪符を与えるのを阻止できるよう、WHOとIAEA間の協定見直しを果たすため、各国の保健省に圧力をかける。

2−国際放射線防護委員会(ICRP)基準の現行モデルと、各国による基準の採択方法について非難をする。放射線防護を目的とした安全基準が、欧州放射線リスク委員会(ECRR)を含む、独立した科学者によって策定されたものとすべきと要求する。

3−原子力産業による、「通常」あるいは「事故」による放射能放出の結果危険に晒される住民の安全を、人権問題として提起し、法廷において国に異議申し立てをする。

4−民間および軍事原子力産業の活動がもたらす健康被害についての、科学者と市民のためのフォーラムを開催する。

 

フォーラム閉会にあたり、松井医師は、福島の子供を保護し、汚染地域から避難を開始できるよう、国際社会による日本政府への働きかけを求めた。今回のフォーラム開催実現を、金銭、物流、政治面でサポートして下さったジュネーブ市はじめ、募金をお寄せ下さった皆様に感謝申し上げる。

 

 

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